WP34s(1) ケーブルの製作

WP34sは,RPN(逆ポーランド記法)の電卓だ。RPN電卓というとHP(Hewlett Packard)が有名,というかほとんど唯一のメーカーになっている。しかし,WP34sは型番の「WP」からわかるとおりHP製ではない。と言いたいところだが,HP-30b(あるいはHP20b)というHPの金融電卓にオープンソースで開発されたファームを焼いて科学技術電卓へ変身させたものだ。ちなみに「WP」はプロジェクトの中心人物のPaul DaleさんとWalter Boninさんの名前から来ている。HewlettさんとPackardさんでHPというのと同じようなものである。

WP34sプロジェクトは,けっこう前から始まっているのだが,私が初めて知ったのは3年くらい前だった。そのころはまだ開発途上という感じで,すごいことをやる人がいるものだと感心するだけだったが,最近になって久しぶりにプロジェクトのページを見に行ってみると,いつのまにか開発が進んでファームはバージョン3.3になっている。さらに,Amazonを見てみるとベースになるHP-30bが20ドル! もう,これは買うしかないとポチり,その勢いでキーボードオーバーレイ(キーボードに貼るシール。なにしろキー割付がまったく変わってしまうから,これがないと使えない)とファーム書き換え用のケーブルもオーダーした。

さあ,後は到着を待つばかり。それまでに必要なファイルをダウンロードして,ファーム書き換えの準備をしておこうと思っていると,1時間くらい後にケーブルを配布している人(このケーブルはHPが大量に作ってhpmuseum.orgの人に預け,送料と手数料だけで配布している)からメールが来た。お,金額の連絡かなと思うと,

Sorry, but the cables are all gone. You’ll have to ask on the HP Museum forum site.

だって。いきなり大問題が発生だ。

HPcable

写真はWP34sマニュアルより拝借

言われたとおりにHP Museum forumをのぞいてみると,いっぱい書き込みがあってどこに何があるんだかわからない。いずれにせよ,自作するしかないことは確かだから自分で調べた方が早いだろうと,ダウンロードしたドキュメント類を読み始めることにした。

まず,HPオリジナルのケーブルはこれ(←)だ。
パソコン側のコネクターはRS-232Cだが,最近のパソコンにはRS-232CがないのでUSB-RS-232C変換アダプター経由ということになるだろう。一方,HP-30bに接続する側のコネクターは独自のもので入手困難というか,どこにも売ってないと思う。ケーブル中央部のケースにはRESETとERASEのスイッチがあって,内部の基板の写真を拡大して見るとADM3202が入っていた。こいつはRS-232CとTTLのレベル変換をするICだ。

 

回路図(こんなものまで公開されている)やマニュアルの記述も合わせて検討した結果,ケーブルの構成はこんな感じ(赤の点線内)だろうということになった。ADM3202周辺の回路がはっきりしないけど,普通にRS-232CとTTLのレベル変換をやっているだけだから,普通にデータシート通りの回路を作ればなんとかなるだろう。

cable1

TXとRXがクロスになっているのに注意。

connector0

コネクターのピン配列は左の図の通りなので2mmピッチのユニバーサル基板にpogo pin (スプリングコンタクト,スプリングプローブ)を植えてやればなんとかなりそうだ。一時はWP34s化をあきらめて,そのまま金融電卓HP-30bとして使うしかないかと思ったが,なんとかなりそうで一安心。

落ち着いたところで改めてケーブルの構成を見てみると,RS-232Cの部分が不必要なことに気がついた。これならRS-232Cの部分を除いて,どこの家庭にも1枚くらいはあるはず(うちには5枚あった←バカ)のUSB-シリアル変換アダプターで直接HP-30bとパソコンをつなげばいい。USB-シリアル変換アダプターを使えば,下の図(青線内)のようになって工作も簡単になる。
cable2

ということで,さっそく工作開始。これなら回路がどうのといった上等なものでなく,電線をつなぐだけの小学校の工作みたいなものだから,簡単にできあがった(当然だ)。写真のUSB-シリアルアダプターはスイッチサイエン スのFTDI USBシリアル変換アダプターだけど,SparkFunのFTDI Basic Breakoutでも何でもOK。

boardV1

Eraseスイッチは,ONのままホールドしなければならないので,スライドスイッチにした。

 

そのまま調子に乗ってコネクターの製作も開始。
2.0mmピッチのユニバーサル基板の配線は面倒だなと思っていたら,aitendoでフィルムケーブルから2.0mmと2.54mmピッチへの変換ボードを発見した。メインのフィルムケーブルの部分を捨てて,2.0mmピッチの部分にpogo pinを植え,2.54mmの部分からケーブルを引き出せば簡単だし,トラブル(下手なハンダ付けが原因)も少なくなる。ただ,2.0mmの部分の穴がpogo pinより細いので,アクリル板で作ったスペーサーに通したpogo pinの後ろに細いスズメッキ線をハンダ付けし,それを基板にハンダ付けすることにした。

connector1

フィルムコネクター部分を切り取った基板と,pogo pin(上はスズメッキ線をハンダ付けした物,下は無加工の物),アクリル板で作ったスペーサー。スペーサーの左右の出っ張りの巾が違うのは逆指し防止。

 

組み立てたところ。少しピンが曲がっているけど,このくらいなら大丈夫だろう。

組み立てたところ。少しピンが曲がっているけど,このくらいなら大丈夫だろう。

2.54mmの部分にケーブルを付けて,スペーサーも接着剤で固定。これでコネクターが完成だ。
connector5
長くなったので,とりあえず前編はここまで。
後編をお楽しみに。
ああ,眠い。

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2件のコメント
  1. RPN の発言:

    初めまして。
    私も先日本機(HP30b+PL2303HX)を購入して→WP34sに改造を試みていますが、うまくいきません。
    後編を楽しみにしています。

  2. hd63c09e の発言:

    コメントありがとうございます。
    後編を公開しました。
    「何回も繰り返していると,そのうちなんとかなる」という,しようもない内容で申し訳ありません。でも,その通りみたいです。あきらめないで,がんばってください。

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